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「分かりました。後でゆっくり」
設計図が未完成でも問題ない。その図面をベースに、霧山建設の設計部に完成させればいい。
「それと……家ができたら、ヒマワリとコスモスを植えたいので、ここの花を分けてほしいんです」
「勇矢さん……」
かすみも初めて知る勇矢の希望だ。驚くかすみに頷いた。
遠い昔、直弥と一緒に植えたヒマワリ。
従兄は妻に、当時の話を再発の入院中に話した。そのことをかすみが尚子に教えると、伯母は庭師に種を保管するように指示したと勇矢は聞いている。
次の年の夏、そのヒマワリは本家の庭に、今までよりも遥かに多い花を咲かせた。直弥の最後の夏を輝かせるように……
そして、そのヒマワリを囲むように、かすみが、直弥と紘基と一緒にコスモスの種を撒いたと教わったのは、翔真の結婚式の後、それほど経たない頃だった。
ヒマワリと交代するように花開いたコスモスは、直弥と妻子の大切な思い出だ。置いていきたくなかった。
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