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その週のうちに、勇矢は実家にかすみを連れていった。
本当なら、先にかすみの実家へ行きたかったのだが、外せない用件があるということなので翌週になった。それなら、自分の実家の挨拶を済ませてしまいたい。
「いらっしゃい。待ってたのよ。英志さんも来るのを楽しみにしていて、今日は絶対予定を入れないって断言してたんだから」
「おはよう、母さん。
父さん、大丈夫なの?」
霧山商事の取締役が他の予定をすべて断って大丈夫か、グループの一員として心配になる。だが、淑子は笑った。
「大丈夫よ。何かあったら、遼雅くんや翔真くんが受けるって仰ってくれたのよ」
甥とはいっても、立場が上の相手に任せる……そこまで息子の結婚を心待ちにしていたらしい。少し申し訳なかった。
「分かった。会った時にお礼言っとくよ」
実際に受けることになるのかは分からないが、気づかいに対しては感謝は伝えたい。
「ようこそ、かすみさん。貴女が娘になるって分かってから、本当に嬉しくて。今日からでも、お義母さんって呼んでもらえるかしら」
「……」
両親のテンションは、勇矢の想像以上に高かった。
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