第五章 すべてを包む愛-針葉樹の森のように

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 ***  その週のうちに、勇矢は実家にかすみを連れていった。  本当なら、先にかすみの実家へ行きたかったのだが、外せない用件があるということなので翌週になった。それなら、自分の実家の挨拶を済ませてしまいたい。  「いらっしゃい。待ってたのよ。英志さんも来るのを楽しみにしていて、今日は絶対予定を入れないって断言してたんだから」  「おはよう、母さん。  父さん、大丈夫なの?」  霧山商事の取締役が他の予定をすべて断って大丈夫か、グループの一員として心配になる。だが、淑子(よしこ)は笑った。  「大丈夫よ。何かあったら、遼雅くんや翔真くんが受けるって(おっしゃ)ってくれたのよ」  甥とはいっても、立場が上の相手に任せる……そこまで息子の結婚を心待ちにしていたらしい。少し申し訳なかった。  「分かった。会った時にお礼言っとくよ」  実際に受けることになるのかは分からないが、気づかいに対しては感謝は伝えたい。  「ようこそ、かすみさん。貴女が娘になるって分かってから、本当に嬉しくて。今日からでも、お義母(かあ)さんって呼んでもらえるかしら」  「……」  両親のテンションは、勇矢の想像以上に高かった。
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