第五章 すべてを包む愛-針葉樹の森のように

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 両親の反応は多少心配だったが、二人は反対しなかった。  「いいんじゃないか。派手にする時代でもないだろう」  「父さん、母さん、ありがとう」  二人は、かすみと紘基のことも考えて賛成してくれたのだろう。素直に感謝の言葉が出た。  実家を出た勇矢は、かすみをマンションに誘った。何かをするわけではないが、少しでも二人でいたかった。  部屋に入ると、冬の早い夕暮れが眺められた。今日は晴れたが、やはり初冬の空気なので寒く感じられる。毎年、冬の始まりは苦手だ。  前の週と同じく、ホットレモネードを作った。彼女も寒かったようで、安心したような雰囲気で少しずつ飲んでいる。  身体も温まって落ちついた頃、かすみが声を掛けてきた。  「あの……知りたいことがあるんですけど……」    ためらう様子が不思議だった。もう、勇矢に秘密はないが、疑問があるなら答える程度は難しくない。  「何?答えられることならいいよ」  彼女は頷いた。  「直弥さんとの件です」  従兄(いとこ)の名前に勇矢は驚いた。彼女は、直弥と勇矢に、何か疑問に思うことがある。だが、心当たりがなかった。  
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