第五章 すべてを包む愛-針葉樹の森のように

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 「勇矢さん……私、絵を描くのを再開しようと思ってるんです」  「かすみ……」  彼女は、勇矢と結婚しても絵は描いていない。仕方ないと彼は思っていた。勇矢では、かすみの心の傷のすべてを(いや)せるわけがないのだと……  妊娠が、かすみの気持ちを変えたのだろう。勇矢は嬉しかった。  「家族の絵を描かないと。笑顔の絵が描きたいんです」  「ああ、いつまでも笑顔のある家にしような」  二人は軽くキスをした。そして、未来へと願いを掛けていた。  直弥に会う時まで、幸せな時間を刻めるようにと……                                 おわり
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