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「そういえば映像で見たような気もする。
かすみは賛成してくれる?」
確認すると、彼女は笑みを浮かべたまま頷いた。
「ええ、決定ですね」
言いながらかすみはおなかに触れた。
「聞こえるかしら。あなたの名前はさくらよ。パパが決めてくれたの。可愛いわね」
勇矢も静かにかすみのおなかを撫でた。
「さくら、みんな待ってるからな。元気で生まれてきてくれよ」
元気に生まれてほしい。それ以上の望みはない。二人はおなかの上で手を重ねた。
名前が決まったので、余計に周りは喜んだ。
女の子で名前はさくら。分かりやすくて可愛い。聞いた誰もが褒めた。
かすみは桜の花が咲いた絵を描いた。青空を背景に、薄いピンクの花が枝いっぱいに広がる淡い色彩の絵だ。
勇矢は喜んで、さっそく彼の肖像画と並べて寝室に飾った。書斎にある、三人の団らんの絵の横にはきっと、四人になった家族の絵が飾られるだろう。
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