番外編 第二章 家族の時間-雪解けを告げる花

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 陣痛の短い合間に、勇矢はかすみに声を掛けた。もうじき生まれるのだろう。分娩室に入った時よりも陣痛の間隔が短くなり、痛みも強くなっているのが分かる。  だが、かすみは勇矢を見て首を振った。  「大丈夫です。勇矢さんの子供だから……」  それでも、勇矢は申し訳なく感じるしかできない。自分の無力を痛感した。だから、神に祈った。  (どうか、無事に生まれますように。かすみも大丈夫でありますように)  そして、直弥にも祈っていた。  (直弥、守ってくれ)  「霧山さん、頭が見えてきましたよ」  声に、勇矢は我に返った。かすみが激しい痛みに耐えながら、最後の力を振り絞っているのが分かる。もう少しで二人の子供が生まれる。  直弥が、勇矢に(さず)けてくれた幸せの一つの形が……
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