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かすみが大きく息をつくと、小さな声が聞こえてきた。産声だと分かるのに時間が掛かった。
「生まれた……」
小さな声は、茫然と自分の耳に響いてきた。
出産を終えて、子供がかすみの横に置かれると、勇矢の瞳が潤んだ。かすみに似ていた。勇矢がそうなってほしいと願ったように。
「かすみに似てる……そうだったらって思ってたから嬉しい……」
感動に揺れる勇矢の声に、かすみが夫を見てきた。
「でも、勇矢さんにも似てます。可愛い……」
さくらは両親に似ていた。かすみの面影が強いが、勇矢の面差しもある。紘基が直弥にそっくりなのに比べると、二人に似ていて勇矢は少し驚いた。
「かすみ……ありがとう」
勇矢の声が震えた。
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