番外編 第二章 家族の時間-雪解けを告げる花

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 ***  かすみと一緒に特別室に入った勇矢の腕に抱かれたさくらを見て、待っていた者たちから小さな歓声が上がった。霧山一族の新しい一員だ。  勇矢の両親は感動の表情だ。二人には初めての女の孫だ。  「さくらちゃん、おじいさん、おばあさんだよ」  今から孫に大甘な祖父母に決定だと息子は思ってしまった……  「勇矢とかすみちゃんに似てる。これは将来美少女だな。絶妙な組み合わせだよ」  翔真の微妙な()め言葉に、周りから笑いが起こった。  そんな中、貴和は少し後ろで遠慮がちに輪の中心の母子を見ていた。  「貴和さん、さくらです。見てやってください」  かすみの声に輪が開いて、貴和が歩み寄ってきた。彼女は姪を見て涙ぐんだ。  「本当に可愛いわ……勇矢とかすみさんによく似てるわね。紘基くんにも似てる。おめでとう、かすみさん」  控え目な祝福の言葉に、かすみは笑みで返した。  「ありがとうございます」  貴和は勇矢にも向いた。  「二人目の子供おめでとう」  紘基を自分の甥-勇矢の息子-と認める言葉に、彼は静かに頷いた。  「ああ、ありがとう」
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