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将貴の横に立っていた慎一は、優しげな口調でかすみに祝福を伝えてきた。
「かすみさん、おめでとう。かわいい赤ちゃんだね」
「ありがとうございます、慎一さん。無事に生まれてホッとしました」
かすみは、勇矢の姉夫妻を名前で呼んだ。今までの距離感が分かる。このままなのか変わるかは、この男性の決断次第になる。
もしかしたら、勇矢の義兄でもなくなる可能性があるからだ。
彼の複雑な思いを知らない慎一は、勇矢にも笑顔を向けてきた。
「勇矢くんもおめでとう。親バカになりそうな気がするね」
否定したいが、ないとは言えない。勇矢は微かに赤くなった。
慎一は、アレンジ花と鉢植えを持ってきていた。
ピンクの花の周りがカスミ草で飾られた花かごは、さくらの名前に似合っている。
だが、花の鉢植え……特に問題があるわけではないが珍しい祝いの品に、勇矢とかすみは不思議な表情になった。慎一が笑っている。
「これはプリムラという花で、日本ではサクラ草と呼ばれてるんだよ」
袋から出された鉢植えには、ピンクの花びらを持った桜のような花が咲いていて、サクラ草と呼ばれるのが分かる。
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