番外編 第二章 家族の時間-雪解けを告げる花

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 ***  さくらが生まれて一か月が過ぎた頃、勇矢はかすみと話をした。彼女はずっと気にしていたようだったが、出産後すぐには話せない。落ちついてから教えたかった。  「義兄(にい)さんたちと姉さんの話し合いの結果は、今月から実行することになってるんだ」  かすみは真剣な表情になった。早く聞きたかったのだろう。義理の姉家族の問題になる。  勇矢と結婚するまではそんな問題は考えもしなかっただろう。霧山本家とかすみの関係は、直弥が生きている時も、世を去ってからも良好だった。  その頃から既に、勇矢と貴和の不仲は聞いていたはずだ。そして、直弥の法事や勇矢と結婚する時、かすみは、ほぼ無視されている。  だが、孤独になった義姉にかすみは手を差し伸べた。そして、貴和は変わり始めた。  それは勇矢にも分かったが、義理の家族との話し合いは、相手の今までの不満もある。姉の希望が通るとは限らない。聞くまでは不安だった。かすみの気持ちは分かる。  「どうなったんです」  不安そうなかすみに微笑んだ。  「大丈夫。そんなに悪くない結論だから」  聞いたかすみから緊張が取れるのが分かった。
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