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「そうなるといいな。昨日今日の問題じゃないから時間かけないとな。
それで、今度の土曜、俺、実家に行ってくる。今度はこっちの話し合いだ」
貴和は、両親から生活費の援助を受けている。そして弟とは完全には和解していない。霧山家でも話し合いは必要だ。
「分かりました。待ってますね。貴和さんや慎一さんと、遼雅お義兄さんたちみたいに行き来できたらいいですね」
優しいかすみに勇矢は癒されるのが分かった。この優しさを知って、直弥は彼女を手放せないと強く思ったのだろう。従兄の気持ちは勇矢にも分かる。
「かすみは本当に優しいよ」
言いながら勇矢はかすみにキスをした。出産してからそれほど経っていない。軽くキスをして触れ合う程度。しかし、勇矢は幸せだった。
「勇矢さんだって優しいです。私、今、本当に幸せなんですから」
「かすみ……」
少し驚く勇矢に、かすみは言葉のとおり幸せそうな笑みを向けてきた。
「遠い未来、直弥さんに会った時、胸を張って言えます。勇矢さんといたから、私、本当に幸せだったって。
でも、その日はずっと先ですね。勇矢さんとたくさんの思い出を作りたいです。幸せな思い出を……」
かすみの言葉を聞いた勇矢も幸せそうな笑みを浮かべて、彼女を静かに抱き締めた。
「ああ、そうだな……紘基とさくらも一緒にな」
二人は、互いを抱き締めながら幸せを感じていた。これからも増えていく幸せを信じて。
おわり
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