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リビングに入ると、直弥は普段よりもさらに穏やかな雰囲気だ。効果を実感しているからだろう。
「元気そうに見えるぞ。顔色もいいし」
声を掛けると、直弥も笑顔で返してきた。
「うん、ありがとう。身体も少し軽くなった感じ。すごく気分いいよ」
そして、勇矢に少し申し訳なさそうに続けてきた。
「いつも、いろいろ持ってきてくれてありがとう。
僕があんまり出られないから、かすみも休みの日は家にいることが多くてね。だから、本当にありがたいなってね」
冬は風邪やインフルエンザが心配だ。直弥は通院以外はあまり外出しなくなったと聞いている。素直に勇矢に感謝しているようで、少し後ろめたかった。なので、すぐに首を振った。
「いいって、一卵性従兄弟だろ。このくらいなら当たり前だって」
直弥だけでなくかすみも笑っている。本家で聞いたのかもしれない。
「勇矢さんに会った時、驚いたんですよ。ほんとに双子の兄弟みたいだって。
遼雅お義兄さんや翔真お義兄さんよりも、二人は似てますよね」
ここで、かすみはいたずらに笑った。
「でも……やっぱり直弥さんがお兄さんって感じ。勇矢さん、やんちゃな弟って感じですよね」
勇矢と直弥は顔を見あわせて苦笑した。だが、勇矢は微かに心が痛んだ。
かすみは当然だが、直弥が最優先。分かっているが……
だが、いつまでも自分も見てほしいとも思った。それが、大切な夫の従弟という立場だとしても……
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