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「お母さま、聞いてたんでしょ、直弥の結婚。
あんな普通の女の子供が後継者ですって!
冗談でないわ。将貴を差し置いてそんなの認められないわ。霧山の血筋なら、私の子が年上よ」
ヒステリックな声に、勇矢は心からうんざりした。土曜日だからと自宅で休んでいたことを後悔した。
母親が報告しないのは正しかったと思える。
婚家に住む娘にわざわざ連絡することを避けたのだろう。伯父たちと親しい淑子は、自分の娘に教える問題をきちんと把握していたようだ。
なので、母親の援護をした。
「姉さん。
遼雅兄が結婚しないって誰が決めた?彼に子供が出来たら、その子が後継者になるんだぞ」
勇矢の言葉に、姉は呆れた視線を向けてきた。
「そうかしら。遼雅って昔から冷めてるし仕事しかしてないわ。それに翔真は貴方と同じで遊んでばかり。
霧山本家の子供は、私の子と、その女を選んだ直弥の子供だけなのよ。まったく何を好きこのんで、そんな女を選んだのかしら。
また、霧山の血を汚す……」
姉の言葉を最後まで聞きたくない勇矢は立ちあがった。怒りの表情を浮かべながら近づく弟に気づいた貴和は怯えた表情になった。
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