二話

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*  あたしはソワソワしながら授業を終えて、美鳥君の元へ向かう。  美鳥君は、女の子にも男の子にも囲まれていて、声をかけにくいなと思っていたら、唐突に目が合った。 「あ、ユカリ。今日は俺と一緒に帰るんだったな。悪いな。待たせて」 「ううん、いいよ。今日の服もかっこいいね」 「あーふつうの赤いパーカーだし……。一応ブランドものだけど……金沢のほうがおしゃれだろ」 「ううん、美鳥君は美鳥君で似合ってるから、十分かっこいいよ!」  美鳥君は、そう言われてにこやかにほほ笑む。 「どうも、ユカリも今日も似合ってる」 「あ、ありがとう!」  舌をかむ勢いであたしは言った。  そして、美鳥君は立ち上がりスポーツブランドのカバンを手にした。
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