二話

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「じゃあ。おやすみ」 「うん、おやすみ……って奏太!? なんで後ろに立ってるの?」  びっくりした。なぜか奏太があたしの家の目に立ってるし。 「いや、あまりに遅いから迎えに行こうとしたら、鉢合わせただけ。僕は別に様子を探ってなんかないよ」 「言われなくても探ってるなんて思ってないけど!?」  何その意味の分からない言い訳は。 「ユカリちゃん、寝てないじゃん? だから倒れないか心配で……」 「やっぱり、奏太は優しいや」  あたしはにぱ、と笑う。 「? 何? 急に」  奏太が戸惑った様子を見せた。 「ううん。帰って勉強しないとね」  また、徹夜だ。奏太が露骨に嫌な顔をしてあたしを家の中に入れると自宅へと向かっていった。あの表情は何が言いたかったのだろうか。よくわからないけれど、あたしはとりあえず、徹夜で勉強することにした。
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