三話

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 懐かしくも、なんだか今は少し切ない思い出だ。 (今じゃ、あたしが世話を焼かれる立場だもんな)  寝ぐせのついた髪の毛を溶かして、丸襟に猫がたくさん書いてある、他はシンプルなレースのついた白いシャツワンピを着た。  最近は自分で雑誌を見ながら服を選ぶ。 「無難にデニムスキニー合わせて……優しい感じになるように、レースのミニ丈靴下も合わせよう」  独りでそう言いながら気づく。  やばい、今日は美鳥君が迎えに来るんだ。しかも奏太にそれを伝えてない。 (やば、奏太もう来てるんじゃ)  朝ご飯を慌てて食べて、あたしは家を飛び出した。すると。
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