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僕は言葉を飲み込む。正直すっぴんのほうがかわいいレベルだ。
それから数年後。僕は色素の薄い髪をかき上げて、笑ってごまかした。そんな高校一年の夏。
長くて明るい色の髪を巻いたユカリちゃんは、昔の面影を顔に宿しながら、紫色のコンタクトを入れた目をぱちくりさせた。
「駄目?」
「いいんじゃない。ユカリちゃんがそうなりたいんでしょ」
「多分……」
「自分の事なのにわかんないの?」
「うん、たぶんなりたいはずだけど」
「はあ……」
(ユカリちゃんは、人目が気になる子なんだよね……)
だから、僕は王子様を目指した。
ほかの人から見ても、ユカリちゃんのそばにいて、ユカリちゃんが羨ましがられるように頑張った。そうすればほかの子みたいに僕を好きになるかなって思ったから。なのに。
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