一話

1/107
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/351ページ

一話

「奏太(かなた)のことは、あたしが守るから」 「ユカリちゃん……震えてるよ?」 「大丈夫。あたしがいるからね。泣かないで、奏太」 「泣いてるのはユカリちゃんもだよ」 「絶対、あたしが守るから」  昔の、あたしと奏太の関係はこんなものだった。  当時から美貌だけがずば抜けていた奏太は、中身がどんくさくて悪目立ちしてよくいじめられた。それを、幼馴染のあたしがかばって、守って。  そんな関係がいつまでも続くと思っていたのに。 「なのに!」 「ユカリちゃんうるさいよ」 「生意気になったよね、奏太」
/351ページ

最初のコメントを投稿しよう!