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一話
「奏太(かなた)のことは、あたしが守るから」
「ユカリちゃん……震えてるよ?」
「大丈夫。あたしがいるからね。泣かないで、奏太」
「泣いてるのはユカリちゃんもだよ」
「絶対、あたしが守るから」
昔の、あたしと奏太の関係はこんなものだった。
当時から美貌だけがずば抜けていた奏太は、中身がどんくさくて悪目立ちしてよくいじめられた。それを、幼馴染のあたしがかばって、守って。
そんな関係がいつまでも続くと思っていたのに。
「なのに!」
「ユカリちゃんうるさいよ」
「生意気になったよね、奏太」
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