３時の会

　最初はまったく気づいていなかったのだけど、まず気になり出したのは、カフェからの帰り道にすれ違う人についてのことだった。

　私がランチを終えてオフィスに帰る時は、当然、川の方へ向かう人たちとは正面からすれ違う形になる。ある日、「あ、この人、前にもすれ違ったな」という人に気づいた。一旦気がつくと他の顔にも敏感になるもので、そういう人は他にも２、３人いた。

　この人たちは私と逆で、オフィス街でのランチを終えて川沿いの方に帰って来ているのかな。私の知らない遅めランチの穴場が、どこかにあるのかなと思っていたのだけれど、何回かすれ違ううちにもう一つ、気づくことがあった。

　私とすれ違いの常連さんになった彼らは、みんな川の方へ歩きながら、時計を気にしていた。携帯電話で時間を確認する人が多い最近だけど、その人たちはみんな針のある腕時計をしていて、それをちょこちょこ見ながら歩いていた。