〈第8交差点〉

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〈第8交差点〉

タツミくんが実家に帰っている間、学校もお盆休みという形で一週間休みになった。 火水木金に講習を詰め込んでいる私は、そのお盆休みの間、火水金は潤子サンのお店でマッサージ実習を、木曜日はハジメちゃんと丸一日過ごす事にした。 そんな予定を、月曜に【喫茶KOUJI】でボンヤリ考えていた私。 タツミくんがいないから、前の定位置だった窓際の席に座っていた。 「イサミちゃん、なんで今日はこっちなの?あ、彼が来ないから?」 モーニングを運んできたマスターが、プレートを私の前に置きながら言った。 「うん、そう。タツミくんがいないと静かだよね~」 「そーね。キミらの会話がないとね。オジサン、寂しいんだけどなぁ」 少しションボリした様子で、マスターはカウンターに戻っていった。 タツミくんと距離を置くと決めたものの、正直に言うと、【喫茶KOUJI】ではどのように接していけばいいのか、まだ答えが出ていなかった。 あの場所に関しては、私が止まりさえしなければ済む話だけど、ここは…私が急に食べに来なかったり、来てもタツミくんと全く話さなかったりしたら、マスターが心配するだろうな。 元の他人に戻るには…あまりにもタツミくんと関わり過ぎたし、タツミくんとの時間が楽し過ぎた。 昨日の路上の雰囲気を、感覚を、タツミくんの歌声を、あの場にいた自分を、忘れられるワケが…ない。 「…次の月曜、ここでの打ち上げくらいなら、いいかな?」 マスターに頼んで、ちょっと豪華なモーニングプレートにしてもらって、アイスコーヒーで乾杯でもしよう。 そうタツミくんにメールしようとして、その手を止めた。 サプライズにしよう。 だけどそれは建て前で、ハジメちゃんを不安にさせない為の、私なりの… 焦点の合っていない目で携帯を眺めていると、ハジメちゃんからメールが届いた。 【まじ?次の木曜、朝からいられるの? うわー、何しようかな。 勇実、なんか考えてる?】 さっき、木曜日学校お休みだから…と私が出したメールの返事だった。 携帯の向こう側で、ハジメちゃんが嬉しそうにしてるって思ったら、すごくいとおしく感じた。 【なぁんにも。ハジメちゃんが考えてね(笑)】 【まじか!絶対文句言うなよ?(笑)】 これでいいんだ。 このまま、ハジメちゃんと進んでいけばいい。 …
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