〈第7交差点〉

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「手前味噌ですが、ご静聴、ありがとうございました」 タツミくんがそう言うと、よかったよ!おねーさんもいい声してたよ!という声が飛んだ。 「フフッ、イッサ、プロ目指してみる?」 タツミくんがイタズラっぽく笑って言うから、 「いやいやいやいや! それはタツミく…お兄ちゃんだけやって下さい! 私は!マッサージ師になるんで!」 ものすごい勢いで首と両手を横に振りながら否定したら、ドッと笑いが起こった。最後の最後まで、漫才みたいだった(笑) それを合図に、お客さん達がパラパラと散り始めた。 ナギサがおずおずと私の所へ寄ってきて、 「この前は、早とちりでやっかんじゃってゴメンナサイ。親戚だったなんて。あなたの歌も、よかったです」 と言ってくれた。少々膨れっ面だったけど(笑) そしてタツミくんに、 「すっごいよかったです!次も、見させてもらいますね」 と、ものすごくにこやかに言った(笑) 「ありがとうございます。 次は…来週にやれるかどうか。ちょっと、実家に帰らなきゃならないんで」 帰り支度をしながら、タツミくんは言った。 じゃあ1週間後、ちょこちょこ覗いてみますねと言い残して、ナギサは帰っていった。 同時に、タツミくんがパタン、とギターケースを閉じた。 「じゃーイッサ、俺、このまま実家帰るね。 次…逢ったら、打ち上げでもしようか?」 「タツミくん。あの、あのね」 私はタツミくんの言葉を遮った。言わなきゃ。 「私、もう、タツミくんとは… これからは、【きたいわ屋】の帰り道でも、ここで止まらない。 【喫茶KOUJI】でも、長居しない。 これ以上…ハジメちゃんを心配させたくない…」 一気に喋った。 途中で、声が詰まりそうになった。 こんなに楽しかったのに。 でも、こうしないと、ハジメちゃんがいつまでも安心できないんだ。 自分が発した言葉が重た過ぎて、耐えきれなくて俯いてしまった。 「分かってるから。 俺も…ハジメさんに言われたから」 タツミくんの言葉に、顔を上げないまま目を見開いた。 …
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