〈第8交差点〉

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「ストー…ッ」 大声を出しかけて、慌てて口を塞いだ。ノリちゃんの方へ身を寄せて、ヒソヒソと話を続ける。 「え…いつから?ダレなの、それ」 「ん…と、夏休みに入って、バイトのシフトを増やしてからかな… 何かされたワケじゃないんだけど…バイトが終わって駅に向かう時とか…たまに寄り道で本屋さんとかに入ったりする時に…一定の距離を保ってだけど、ついてきてるみたいで… あのね…お客さんなの。イサミちゃんがいない時に、2回くらい来た人で。 今日も来るのかなって…ちょっと怖くて」 「そうだったんだ…カレには、話した?」 「うん…心配してくれて。 最近は、彼も夏休みだし、お店まで迎えに来てくれるんだ」 「うんうん。よかった、安心だね。 それにしても、もう。なんなのソイツ。 ノリちゃんに怖い思いさせてさぁ…ばかじゃないの。 ノリちゃん、私がいる時に来たら教えてよね」 ひとり憤慨していると、ノリちゃんはクスクス笑って、 「うん、ありがと、イサミちゃん。 はあー、イサミちゃんに話してちょっとスッキリしたぁ」 と言った。 少しでもノリちゃんに暗い顔をさせたソイツが、憎たらしいよ。 ランチを終えて、勤務に戻った。仕事をこなし、私達の上がりの時間が近づく。 その時、一人の男性客が入ってきた。 「いらっしゃいませー」 私達が施術台の再準備をしている所だったので、潤子サンが受付カウンターに立った。 ノリちゃんの動きが止まる。 「?ノリちゃん?」 ノリちゃんを見てビックリした。顔が真っ青… 「…イサミちゃん…あのヒト… さっき話した…ついてくるヒト…」 そう言ってノリちゃんは、受付の方に背を向けてしまった。 …
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