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「じゃあ、ちょっと訊いてみてもいい?」
「何でもどうぞ」
「ねえ、あなたはどうしてそんなに若いのに死んじゃったの?」
「交通事故。中学校の卒業式に行こうとして、いつもどおりの道を歩いてたら、交差点で信号を無視した車が突っ込んできて轢かれちゃったんだ。まあ、それから三日間くらいは何とか粘ったんだけどね。だって、高校にも受かってたし、別に死にたかったわけじゃないからね」
拓也はまるで他人事のようにあっけらかんと答える。もう少し重たい雰囲気の話になるかと思っていた私は、思わず拍子抜けしてしまった。
「じゃあ、ちょっと話題を変えよっか。何か私に訊いていみたいこととかある?」
「そうだなあ……」
拓也は首を捻りながら少し考えて、
「だったら、学校の話とか聞かせてほしいな。友達とどんなことをしたとか、どんなことを勉強したとか。ほら、僕は高校に行きたくても行けなかったからさ」
と答えた。
「うん、わかった」
私はそう答えて、学校での出来事をいろいろと話した。だけど、そんなことをしているうちに、あっという間に十五分が過ぎてしまった。
「もう、時間だ。行かなきゃ」
拓也は私の話を遮ってそう言った。
「ねえ、また来てくれる? 学校の話、いっぱい用意しとくから」
「うん。また来るよ」
そう言うと、拓也は手を振りながらスウッと消えていった。
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