Midnight

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 感情が高ぶった私は、思わず、 「だったら私も死ぬ。そしたら、あの世でずっと一緒にいられるでしょう?」  と大声を上げてしまった。 「死ぬなんて……言うなよ。僕だって……死にたかったわけじゃないんだ。できることなら……生きて……穂乃果に会いたかったよ」  拓也はポツリポツリと呟くように言った。  そして、午前三時十五分がやってくる。いつもなら「じゃあね」と笑顔で消えていく拓也が、悲しそうな顔をしたまま消えてゆく。 「待って!!」  私は思わず声を掛けたけれど、そのときにはもう拓也の姿はなかった。私はそのまま横たわり、枕に顔を埋めた。勝手に涙が溢れてきて、枕が濡れてゆく。そして、私はそのまま眠りに落ちた。  一日経って、また真夜中に目覚まし時計が鳴り始める。私はすぐに起きてベルを止め、ベッドの上に正座して拓也を待ち構える。さすがに昨日は感情に任せて言い過ぎたせいで、拓也を困らせてしまった。今日はまず、そのことを謝らなければならない。  時計の針は刻々と進んでいく。だけど、いつものようにカーテンが揺れ始めない。見間違いかと思って目を凝らして見るけれど、それでもやっぱりカーテンは揺れない。
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