Midnight

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 時間を間違えたのかと思って、目覚まし時計を確認してみるけれど、針は午前二時五十六分を指している。もしかしたら目覚まし時計が狂っているのかもしれないと思って、他の時計で確認してみるけれど、やはり同じ時間を示している。  私は嫌な予感がした。このまま、拓也がやってこなくなるのではないかと。そして、時間は進み、午前三時がやってくる。だけど、拓也は姿を現さない。何かあったのだろうかと心配になるが、私にできることなど何もない。連絡を取る方法だってない。  もしかすると、何かのはずみで出てこられる時間が変わってしまったのかもしれない。私はそう思って、ずっと起きて拓也を待ち続けた。だけど、日が昇り、朝焼けで空が橙色に染まっても、拓也は姿を現さなかった。  そして、その日から、拓也は私の部屋に姿を現さなくなった。私の嫌な予感は見事に当たってしまったわけだ。  だけど、日がたつごとに、私の拓也への想いは高まっていく。毎日が寂しくて切なくて仕方がない。胸が詰まって、苦しくて苦しくて仕方がない。それでも私は毎日、午前二時五十分になると目を覚まし、拓也が姿を現すのを待ち続けた。そして、一ヶ月の日々が流れていった。
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