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ピピピピピ……ピピピピピ……。
目覚し時計が鳴る。私はいつものように起き上がり、目覚めし時計を止めた。今日もどうせ拓也は来ないんだろうなと思いながらカーテンを見てみると、微かだが揺れているのがわかる。私の心臓は一気に高鳴り始めた。
時間が経つごとに、カーテンの揺れは激しさを増し、青白い光も見え始める。そして、午前三時、光の中から拓也が姿を現した。
「拓也……」
私は思わずベッドから飛び降り、拓也に抱きつく。だけど、私の手は空を切るだけで、拓也に触れることはできない。
「穂乃果、一ヶ月も来なくてごめん」
「ううん。私こそごめんなさい。あんなこと言っちゃって」
「僕も一ヶ月、ゆっくりと考えたんだ。それで、今日は一時間、一緒に居ようと思う」
「えっ!? 本当に!? でも、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」
拓也は笑顔を浮かべて見せた。
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