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その話をすると、拓也はハハハと声を上げて笑った。
「ちゃんと予習して行かないからそんなことになるんだよ」
拓也は揶揄うように言う。
「そんなこと言ったって、数学苦手なんだもん。だいたい、三次方程式なんて解けなくても、生きていくのに何の問題もないんだから」
「それは言い訳」
拓也がビシッと言う。私は思わず、
「だったら、拓也には解けるの?」
と言い返す。だけど、私はすぐにハッとなって、後悔した。高校に行きたくても行けなかった拓也に、高校で習う問題が解けるはずがない。何て酷いことを言っちゃったんだろうと思って、謝ろうとしたその時、
「解けるよ」
と、拓也がニヤリと笑う。
「えっ!?」
私は驚いて言葉に詰まる。すると、拓也が解説を始めた。
「いいかい? 高次方程式は、まず因数分解すること。簡単に因数分解できそうにないなら、まず組立除法を使って因数を見つける」
「はあ……」
私は思わず頷く。
「この問題の場合、組立除法を使って『x+1』を因数に持つことがわかるから、それを使って因数分解する。そうすると『(x+1)(x²+6x+5)=0』となる。ここまでは大丈夫?」
拓也は得意気に笑う。
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