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出てきたのは、私と同い年くらいの男の子。おまけに、アイドルを彷彿とさせるような、色白で私好みの超美形。私は恐怖も忘れて、思わずその顔に見惚れた。
「はじめまして。僕は唐沢拓也。君は?」
「吉本穂乃果」
私は思わず質問に答えてしまう。
「君は今日からここに住むの?」
「はい。今日、ここに引っ越ししてきて……。あの、あなたは幽霊?」
「うん、そうだよ」
そう言うと、拓也は幽霊らしくない爽やかな笑顔を浮かべてみせる。私は思わずプッと吹き出してしまった。
「何がおかしいの?」
拓也が不思議そうな顔をして私を見る。
「だって、ふつう幽霊はそんなにあっさり自分が幽霊だなんて認めないでしょう?」
「そうは言っても、僕は幽霊なんだから仕方ないよね」
「まあ、それはそうかもしれないけど……」
私は呆れて拓也を見る。もう、そこには怖いという感覚はない。むしろ、同級生の男子と話しているような、そんな感覚だ。
「ところで、あなたはどうしてここに出てきたの? あ、わかった。私のあまりの可愛さに見惚れてでてきたな」
私が冗談まじりに言うと、拓也は少し困惑したような表情を浮かべて、
「いや、この部屋、もともと僕の部屋だったんだ」
と答えた。
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