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私達のペアは国内大会で少しずつ順位を上げていき、風凛が怪我をしてから1年後の11月に開催された全日本総合バドミントン選手権で優勝することができた。
国際大会にも選抜されるまでになり、ドイツオープンでは3回戦まで勝ち進んでベスト16、全英オープンでは準々決勝まで勝ち進んでベスト8となった。
その後もアジアバドミントン選手権では準決勝まで勝ち進んでベスト4、フランスオープンでは準決勝まで勝ち進んでベスト4、世界選手権大会では決勝まで勝ち進んで準優勝という結果だった。
翌年以降は、決勝まで勝ち進むものの強豪中国ペアをどうしても破ることができず、準優勝という結果に終わっていた。
いよいよオリンピックが開催される年になると、奈智が練習に取り組む姿は真剣そのもので、私の目から見て少し頑張りすぎているのではないかと思うほどだった。
そんな奈智を見て私は心配になってアドバイスすることにした。
「奈智、練習頑張るのは良いことなんだけど、やりすぎて体調を悪くしたり、怪我をしたら意味がないんだよ!
私は奈智と万全なコンディションでオリンピックに出たいから、決められた休みの日は練習は控えてほしいの…」
私が真剣に奈智に話をすると奈智は少し考え込んでしまったけれど、私の気持ちを分かってくれたようで、
「はい、わかりました。」
と素直に受け入れて返事をしてくれた。
前年の全日本総合バドミントン選手権で優勝していた私たちペアは、オリンピックの出場権をすでに獲得していた。
奈智と私は、なかなか勝てない中国ペアを攻略するために、2人で戦略を練っては実践するというスタイルで練習を続けていた。
オリンピックで、どの程度まで通用するのかはわからないが、奈智と私はできる限りの練習をしてオリンピックを迎えることになった。
オリンピックが始まると奈智と私は、やはり世界選手権大会とは違った雰囲気に呑み込まれていった。
私にとっては2回目のオリンピックで、4年前のオリンピックで経験した独特の緊張状態だと感じた。
いつもと違う緊張に襲われていて、たぶんこれがプレッシャーというものだろうと感じていた。
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