0人が本棚に入れています
本棚に追加
私の名前は『成宮 沙羅(なるみや さら)』、22歳の私は今、オリンピックバドミントン女子ダブルスの決勝の舞台に立っている。
私のパートナーは『櫻井 風凛(さくらい かりん)』、24歳で私の良きお姉さんのような存在で、最も信頼しているパートナーだ。
私たちはオリンピックの舞台に立てただけでも幸せなのに、初めてのオリンピックで決勝まで駒を進めることができるとは思っていなかった。
オリンピックは世界選手権大会とは違った雰囲気で独特の緊張感に襲われたが、それにもまして決勝は私たち2人の緊張をさらに高めていた。
第1ゲームは、2人とも緊張のあまり思うように体が動かず、連係プレーでもミスをしてしまい16-21と落としてしまった。
第2ゲームまでの休憩中に、風凛から声をかけられた。
「沙羅、私はオリンピックの決勝の舞台に立てただけでも幸せだよ!
これも沙羅おかげだよ!
ありがとね!
ねぇ沙羅、この試合、最後まで2人で一緒に楽しもうね!」
風凛が笑顔で私に伝えてくれた言葉は、私の心を和ませてくれた。
私は、緊張の糸が少しほぐれたような気がした。
「私も風凛に感謝しているよ!
本当にありがとう!
風凛、最後まで2人で一緒に頑張ろう!」
私も笑顔で風凛に思いを伝えた。
第2ゲームになると、いつもの2人の動きが戻ってきた。
連係プレーもミスなくこなし、第2ゲームは、21-10と大差で圧勝した。
第3ゲームは、3点差で負けていたが、2人とも最後まで諦めずに戦い、土壇場で5連続ポイントを取って21-19と僅差で勝ち取った。
私は思わず風凛に抱きついたが、その時の私は目から涙が溢れ出て止まらなかった。
閉会式に参加して日本に戻ると、インタビューなど忙しい毎日だったが充実した時間を過ごしていると感じていた。
インタビューでは、すぐ次のオリンピックの話題になったが、私は4年後のオリンピックも風凛とペアを組んで戦いたいと思っている。
たぶん風凛も私と同じ気持ちだろうと思っている。
最初のコメントを投稿しよう!