錬金術師に水を、

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 錬金術師ティトは半監禁状態である。 ブロンドの長い髪を襟足に結び、目を同じ色のブルーのリボンで結ぶ姿は彼のトレードマーク。 その容姿は社交界でもは老若男女、虜にした。 そのせいでこの状況である。 「ティト様、昨日も抜け出しましたでしょ」  ティトよりも若い近侍、バレリオが届いた封書を手に険しい顏をする。 「なーんだ、ばれちゃったか」 「呑気な事を! どうしてここに入れられたか少しは反省を──」 「──はいはいはーい。バレリオはいつも元気ですねー」  そう窓際に腰掛けるティトは気怠そうに外を眺める。 石畳の街、流れる川に行き交う馬車と人々。 それを二階から見下ろしながらため息をつく。  貴族出身の彼はこの洋館に移り住んでから半年が立つ。 原因は眉目秀麗だけではなく、女癖の悪目立ちもだった。 そこそこの女性ならば一晩の戯れなどなんて事はないが、手を出してしまったのが上階級のマダムとなっては半監禁の措置も致し方ない。
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