ようこそ! 魔破街へ!

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ようこそ! 魔破街へ!

入ってすぐに、異常に気付いた。 …廃墟、だった。街の入り口なのに。 ボロボロの建物が立ち並び、人気が全く無い。 「えっ…えっ?」 辺りをキョロキョロ見回しても、誰もいない。 何故っ!? もしかして場所を間違えた? けれどここには父に案内されたし、看板にも街の名前があった。 …と言うことは、間違いは無い。 父はここで、オレの手続きを済ませたと言っていたし…。 …とりあえず、歩いてみよう。 真っ直ぐに歩くと、ふと違和感を感じた。 …何だろう? 肌にイヤものを感じる…。 けれど誰かには会わないと…。 オレは早足になった。 そして廃墟を抜け、森の中へ…ってココ、街中だよな? 不思議に思いながらも歩き続ける。 だって今のオレにはそうするしかないから。 ―人の声が聞こえてきた。 あれ? 奥の方から人の声? ちょっとおかしく思いながらも歩いて行くと、洞窟の前に来た。 耳をすませると、ここから人の声が聞こえてくる。 オレは中に入った。 中は豆電球が光を放っていて、何とか歩ける。 けれど人一人通るギリギリの幅だ。 それでも何とか歩き続ける。 途中、坂を上ったり下ったりしたけれど、一本道なのはありがたい。 汗をかき始めた頃、鉄の扉の前に来た。 そこには『ココが魔破街』と、扉に彫られていた。 …やっと到着、か? オレはため息をつき、取っ手に手をかけ、押した。 ぎぎぎっ…! 嫌な音をさせながら、扉は何とか開いた。 光に眼を細めながら、オレはやっと魔破町に来た。 だけど…。
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