0人が本棚に入れています
本棚に追加
女の子は公園の花壇で妖精を見つけた。それは手の平に乗せられるくらいの大きさで、人間の子供の形をしていた。最初に出会ったとき、女の子は人形が落ちているのかと思った。しかし、それは立ち上がると歩き出し、草の根に登ったり、木の枝を持ち上げようとした。
「生きてるんだわ」
女の子はその生き物になんという名前を付けるべきか分からなかった。だから、とりあえず妖精と呼ぶことにした。
妖精は白い布のワンピースのようなものを着ていた。性別は分からないが、多分女のように見えた。
「こんにちは」「おはよう」「元気?」
女の子は何度か声をかけた。しかし、妖精は聞いているような素振りは見せたが、言葉は喋らなかった。会話ができないことにはがっかりしたが、こんな珍しい生き物、放っておくわけにはいかなかった。
「連れて帰ろうかしら」
女の子は妖精に手を伸ばして捕まえようとした。妖精はすばしっこく逃げたが、女の子の大きな手にはかなわなかった。女の子は妖精をつかむと、傷つけないようにハンカチで包み、持っていたポシェットに入れてファスナーを閉めた。これなら逃げないだろう。そう考えながら、家路に着いた。
最初のコメントを投稿しよう!