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女の子は意を決して公園に出かけた。やっぱり外に逃がすことに決めたのだ。はじめて妖精を見つけた花壇まで来ると、女の子は連れ帰ったときと同じポシェットから妖精を出して、土の上に置いた。
すると、妖精はゆっくりと歩き出し、背の高い草むらの中に入った。そのまま、どんどん奥へと進んでいく。
「待って」
女の子は思わず手を伸ばした。しかし、もう妖精の姿は見えなくなっていた。
そう、これで良かったのだ。女の子は妖精を探すのはやめて、家に帰ろうと思った。来た道を戻り、花壇の出口に差し掛かったときだった。
「なんだろう」
空を見上げると、巨大な丸い物体が浮いていた。それは中心が黒く、淵は長い毛に覆われていた。女の子があっけにとられていると、突然横から5本の巨大な棒が現れ、近づいてきた。女の子は逃げようとしたが、一歩間に合わず、体ごと捕らえられてしまった。
抗うことができず、されるがままになっていると、やがて視界に薄靄がかかり、体全体が薄い布のようなもので覆われていった。そして暗い穴の中に放り込まれ、どこかに運ばれていくのを感じた。その行き先は全く想像がつかなかった。
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