1 ルカ

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絶対に危ない。そう思ったオレらは ボティスの配下に 見張りに付いてもらって 泰河が車ごと 崖から飛び出すつもりだったことを聞いた。 泰河には、崖から車ごと飛んだ感覚があっただろうと思うけど 実際は、泰河の思惑を察知した見張りの悪魔が 麓にいる時点で術を掛け、幻覚を見せたらしい。 “車ごと 崖を越えた” っていう幻覚を見せた瞬間に 泰河の額にある ハティの印章を刺激して、 うなじにある ミカエルの加護のクロスに ハティから泰河を守護させようと 反応させた。 泰河は、その作用のショックで 気を失った。 一度 勢いでやったとしても、失敗すれば 同じことは もう出来ないだろう。 人間に備わった生存本能が それを止める... と 見張りの悪魔は考えていたようだけど 泰河は、また車で峠を登り出した。 今度は シートベルトを外して。 誤魔化しでは駄目だ と判断した悪魔は 一度ボティスの元に顕れて、一緒にいたオレらに “借りる” と断って、天草四郎陣中旗を持って消えた。そうしなければならない気がしたみたいだ。 悪魔は、陣中旗を持ったまま 走っている泰河の車のルーフに 立つと “生きるのです” という、少年の声が聞こえた っていう。 すると 車は減速し始めて、 車道脇の小さい駐車場へ入って 停車した。 泰河は、空になるまで泣いたようだった。
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