2 ルカ

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ジェイドは 祈るような眼で、“フリオ” って 知らないヤツの名前の形に くちびるを動かして 朋樹は、泰河に 普通に電話をした。 “仕事だ” って。 朋樹は、泰河が カフェで ギリシャ鼻の人の首を噛り取った時も、 ボティスに 死神のピストルを向けた時も、 ずっと冷静だった。 “休めなきゃ辞める ってよ。 しょうがねぇよな、あいつ... ” 朋樹は、泰河が どんな風な時でも そのまま受け止めてる って感じがした。 “まあ でも、生きてるしな。 心配させやがって” 朋樹は、泰河から いなくならねーし、 何があっても 変わらない。 “朱里ちゃんには 世話かけて悪いけど しばらく 預けるかな” それが分かると、オレらも 落ち着いた。 朋樹が 大丈夫だって判断したんなら 泰河は 死に向かわない。そう 信じられる。 「配下からは、まだ何も報告はない」 ボティスが ジェイドに言ったら 「そうだね。大丈夫だとは思うんだけど」って ワイン飲んで 「心配というか、物足りない気がするだけなんだ。普段、当たり前に居るヤツが 欠けてると」と グラスをテーブルに置いて ソファーの背もたれに 身体を預けた。 うん。寂しいんだよな、なんか。 言わねーけど。
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