657人が本棚に入れています
本棚に追加
/1205ページ
高い位置に纏めた黒髪、白い襞襟。
天鵞絨の黒いマントの中に、赤い羽織。
濃紫の裁着袴に 黒い脚絆、足に草履。
翡翠のロザリオ...
「... 四郎?」
天草四郎だ。ミカエルと天に昇ったはずの。
「ちょっと... 」
傍に しゃがむと、朋樹とジェイドも近くに来て
覗き込む。
肩に触れようとしたら、四郎が瞼を開けた。
「あっ」「起きた」
「神父。るか、ともき」
「神父だけど、“ジェイド” だって」
床に起き上がる四郎を 助け起こしていると、
磔の十字架の隣に 白く濃縮した光が弾けて
エデンの門が開いた。
薄い階段を降りて来るのは もちろんミカエルで、
翼 背負って天衣だし、ブロンド眉をしかめて
ムスッとしたツラしてる。
四郎に眼を移すと「よし、いるな」と
表情を緩めて、教会の床に降りた。
「ミカエル」「おかーり」
どういうことなんだよ? って見たら
エデンの門から、地上の服を取り寄せて
自分に重ねて着替えながら
「シロウのことは、第七天で 聖子に報告して
第六天で会議になった」って 説明し出した。
最初のコメントを投稿しよう!