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「シロウ!」
「天狗の方」って言う四郎に
「テングだけど、俺は アコ」って 自己紹介して
「それ、飲める?」と、テーブルのコーヒーを指差す。そっか、飲んだことねーよな。
一口飲んだ四郎は
「苦いですが、香りが好きです」って
気を使ったような、ちょっと背伸びしたような風に答えて、コーヒーの湯気を吹いた。
四郎は 大人びては見えるんだけど、なんか
まだ子供なんだよな って思う。
「そうだ、第二天では飲まなかったもんな」
ミカエルは、第六天に連れて行く前に
第二天で パンを食べさせたみたいだった。
その時に飲んだのは、蜜入りのミルクだったらしい。
「待ってて」
一度消えたアコは、ミカエルにマシュマロ、
紙カップのカフェラテと小瓶を 四郎の前に置く。
「金平糖じゃん」
小瓶には、水色と黄色、白と赤っぽいピンクの
金平糖が詰まってるんだけど、
四郎は それを “わぁ... ” って 感動したように手に取った。
「“コンフェイト” だよな」
朋樹が、微笑ましいって顔して
四郎に言った。
「あっ、そうだ。聞いたことある!」
金平糖は、戦国時代頃に ポルトガルから入ってきた。“献上品” になってた南蛮菓子で、庶民の口には とても入らないようなものだったんだよな。
金平糖って名前も、ポルトガル語の “confeito” に 漢字を当てただけ。
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