4 ルカ

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4 ルカ

「たいがは、どうしていますでしょう?」 バスの後部座席で、最初は 「大変に速いのですね! 私は、馬にも そう 幾度も乗ったことが ありませんので... なんと高い建物でしょう、混乱(ばべる)は あのようだったのでしょうか?」って 窓の外に釘付けだった 四郎が聞く。 ミカエルも、ブロンドの睫毛の碧眼を向けるけど 「ああ、今ちょっと 朱里(あかり)ちゃんに任せてる」って 助手席から 朋樹が説明を始めた。 山での泰河のことを聞くと、四郎は 「こうして、個人が 心を自由に選べ、 飢え死ぬ程に搾取されることない、世の中に なりましたのに、 大罪に向かわせる程の苦しみは 存在するものですね... 」と、胸に掛けた 翡翠のロザリオの十字架に 手を当てる。大罪というのは、自殺のこと。 リラと うたかたと 星を思う。 「ですが、よく わかります。 どのような 心持ちであるかは」 四郎の言葉に、ミカエルが頷く。
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