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俺は、どうすれば良かったんだろうか。
今更こんなことを考えたってどうにもならないことは分かってる。
それでも他に方法があったんじゃないかと考えずにはいられなかった。
ぐるぐると考えているともう、駅のホームに着いていた。
復讐のやり方も、他にあったのかもしれない。
そもそも、パワハラを受けている時の対処法を一人で抱え込まなければよかったのかもしれない。
俺は、あいつらを殺して復讐するほどの勇気は持てなかった。
だから今回、法律を味方にして復讐を計画した。
その結果は、アイツらに逮捕歴を付けたのと、30万円の慰謝料。
そして、真人の死。
どう考えても慰謝料30万円だけで真人の死をチャラにすることなんて出来ない。
無期懲役なら文句はないが、パワハラでは、そこまでの判決は下されない。
もうどうしようも出来ない。
時間を巻き戻すことだって出来ない。
俺は、これから先、誰にも明かすことが出来ない罪悪感を抱えて生きていかなければならないだろう。
環境に恵まれた職場に就いた所で普通に仕事は出来ない。
⋯⋯真人、ごめん。ごめんな。俺のせいで。こんなことをしたってお前は帰って来ない。分かってる。弱くて、狡くてごめん。もう、駄目なんだ。これからどうすればいいか分からないんだ。許さなくていい、憎んでいい、恨んでいい、俺は、もう、駄目だ。
──このまま死んでしまいたい
そう思った時、俺はホームから一歩踏み出していた。そして、視界は真っ白に染った――
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