大学二年生、仲秋の候。

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ふたりだけがあの空間にいた。 あなたが私の部屋にいた。 カーテンの向こうの夜は深く、 私たちは永遠と朝日を待っていた。 ひざの高さの机の上では、 エメラルドの瓶が小さな海を抱えて、 部屋の明かりを優しく含んだ。 アルコールの匂いをふわりと纏う、 この狭い狭い部屋で、 煌々と光るテレビを、 ただ眺めるふたり。 グラスを抱えて、 地べたに座って、 ベッドに背もたれ、 ただ、ぼーっとしてたのだろうか、あの時の私たち。 日はまだ昇らない。 秋の夜長はふたりの空間を永遠のものにした。 そういうふうに、錯覚したんだ。 ずっといて欲しかったのに。
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