ゲームの世界に呑み込まれ

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ゲームの世界に呑み込まれ

お題『夜という文字を使わずに夜が来たを文学的に表現してみろ』  夕日が落ちる頃、携帯の画面が段々と明るくなる。そんな事でさえ、気付かない程に画面の方をジーっと見つめた。  指で操作をしながら、ボスと戦っている最中だった。 「また、負けたぁあああ~!」  呆気なく一撃必殺の技を使われ、体力を失う。  くそ、くそっと拳を上下に振りながら、弱い自分に苛立ち、何処にも向ける矛先がなかった。 「今度こそ、倒して今期限定のレア剣をゲットするんだ」  今期限定のイベントでは、超強いボスを倒すと参加者全員にレアの剣が当たる! というゲームのホームページに掲載されていた。  課金勢ではない俺は、無料ガチャでしか物をゲットする事が出来ず、困っている所に嬉しいイベントが巻き込んだ。  だから、学校が終わると携帯でゲームアプリを開く。数々の討伐をしながら、等々ボスへと辿り着いた。  再びボスを倒しに出掛ける。  何回も負けた敗北者が不敵な笑みを零すのは、きっとアニメのヒーローみたいに勝つ! と信じているからだ。  アニメ好きだという事は置いといて、画面上に表示されている討伐開始のボタンを押した。 「さあ、いざ勝負!」  バタン! 「あんた、いつまで起きてるの! 早く寝なさい!」  自室のドアが勢い良く壁に当たる。お母さんが声を荒らげ、仁王立ちしていた。  ハっとお母さんの声でゲーム脳から意識が戻る。辺りを見渡すと、外と部屋が真っ暗な事に気が付く。  もう日付が変わっていた。
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