メンヘラちゃんの相談

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メンヘラちゃんの相談

お題『泣くという文字を使わずに泣き顔を文学的に表現してみろ』 「友達でもいいから戻りたいです。彼からちゃんと言われれば、諦められます」  ラジオの相談コーナーで、1件のメールが届いた。ラジオパーソナリティーの僕に相談があるから助けて下さいというモノだ。  それが今、電話越しに喋っている女性だった。 「もう諦めた方がいいよ。軽い気持ちで浮気をした貴方がいけないのだから、彼に振られても仕方ないと思う。また寄り戻りたいって、2人はいつ別れたの?」 「・・・・・・2ヶ月前です。でも、もう浮気はしませんし浮気した事については深く反省しています」 「2ヶ月前なら難しいんじゃない? 彼は吹っ切れて前を進んでいると思うよ」 「そうかもしれませんが、彼に話してみないと分かんないし、もしかしたらまだ私の事を思っているかもしれないし・・・・・・」 「貴方の気持ちは分かったけど、音信不通なら貴方の声は彼には伝わらないんじゃない?」 「それは大丈夫です。彼は貴方のラジオが好きで欠かさず聞いていたので、きっと気付くはずなんです」 「そ、そうなんだね」  どうしたもんかな。  女性には恋人が居た。けれど彼が仕事などで忙しく、寂しい思いをしたからつい浮気をしてしまったのだ。  彼は友人から恋人の浮気を知り、女性に聞いた。すると女性は何度も謝りながら、目から涙を零したらしい。  でも浮気を許せない彼は別れを切り出し、別れた。  まだ彼の事が好きな女性は諦められる事が出来ずに、彼が毎回聞いているラジオへ、相談した。  ラジオ越しにいる彼へ、自分自身の気持ちを伝えたかったという事になる。 「っ・・・・・・はぁっ、ぐすん」  電話から聞こえる女性の声は震えていて、何度もはぁっはぁっ、と繰り返す。鼻を噛む音などで女性が涙を流しているような気がした。 「どうしたの? 泣いてるの? 大丈夫?」 「だっ、大丈夫・・・・・・です」  女性は否定する。実際に顔を見ないと分かんないから、疑問に持っていても配慮した。  また話を続ける。 「今は辛いと思うけどね、一度でも彼を裏切る行為をしてしまった事は良くなかった。裏切られた側の気持ちを考えた事ある?」 「ありますよ、だから申し訳ない気持ちで、友達でもいいからって」 「そう自分が、自分が、って言って彼の気持ちは入ってないよね? 彼の事を考えるのなら、もう諦めてあげなさい。貴方も他の人を探してみな」 「は、はい・・・・・・貴重な時間を頂き有難うございます。こんな相談ですみませんでした」 「大丈夫だよ、二度と浮気はしないようにね」 「はい、失礼します」  女性との会話はこれで終わった。彼女がちゃんと理解して新たな道にいける事を願う。
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