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――冗談混じりに笑うガンドゥル。この時はまだ、会話も冗談混じりだったのだ。
「アズダさん、ミミティーさんに嘘吐かれませんでしたか?」
「嘘?」
その前に本当のことを口走っている兄弟なんているのだろうか。と、一度疑い始めれば止まらなかったが、中でも正直者のようなミミティーからでさえ、嘘を吐かれるような男だったのか、俺は。
「何肩落としてるんですか……そうそれで、ミミティーさんからこの兄弟の男女比率って聞かれましたか?」
自力で立ち直って目を向ける。
信じがたい話があったと思い出に耽った。椅子が大量に並んだあの部屋で見たのは、半分以上が女性だった、と今言えるくらい、外見は男じゃないのだ。
「ああ。全員男なんだろ、マジでビックリした」
「アレ嘘ですよ」
「だよな!!だよな!!そうだよ女だよアレ全員男とかむさ苦しいわ!!」
勢いに乗って座席から飛び上がる俺を、微かに軽蔑視しているガンドゥル。
いやだって、六十何人も兄弟いる辺りでもう可笑しいのに、全員男ってどんな確率だよ何してきたよ。
「情緒不安定ですか。でもアズダさん、男じゃないとは言っても、女性はミミティーさん一人ですよ」
「…………へ?」
「機械に性別がある方が珍しいですよ。一部兄弟はどっちでも無いんです。例を上げれば、ヂェーニャさんとラッドさんとかね」
なんだろう、この感覚。
心の中の期待感が、ばっと潰れて溢れたような、虚しさと似ている感覚。
つまりは中性。言われてみれば納得がいった。自分も機械に性別という概念があるのかどうか、不思議がったことはあるからだ。
「彼ら、もしくは彼女らは、かなり昔に創られた機体。人間らしさには欠けますが、戦闘力は新型機体にも劣りません」
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