第二章 wisecrack

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 それから、移動中に会話が途切れることはなかった。リアクスのおかげもあるのだが、無駄話から重要な話、つまりは機密事項も多少は知ることが出来たのだ。  椅子の背もたれに自身を預け、いっそ二度目の睡眠を始めようかとした時。ガンドゥルが口を動かした。 「そうだアズダさん、リアクス達以外に交流された方は覚えていますか?」 「ハフィズとヴィエットと……ミミティー、ヂェーニャとドヴィ、バトルショーでザラとラッドだったか……あとスクワシ、って名前だけは聞いたが」  記憶の中を彷徨っていた名前を、できる限り顔と共に思い起こす。ガンドゥルは斜め下を向き、少し考えたような仕草をしてから、布越しに喋った。 「分かりました、ありがとうございます。ヂェーニャさん達と接されたのですね」 「あの、交流……なんとか機関の」  嫌な思い出だ。脚が地面に埋まるなんて、経験なんてしたことなかったのに。 「郊外交流機関ですよ。あのお二人、中々苦労人ですから。一日中見ず知らずのお偉い様と会話なんて……」 「それはすげえ分かる、俺なら死にそう」  やっと共感を覚えて安心した。同じ部分が無いと関わり辛いなんて、自分でも最低だな、と思う。 「…………お菓子」 「これ美味しいなの、兄さんちょっと食べてみてなの~」  たわいない会話に、アンユは交じれているだろうか。 「あとザラさんとラッドさん。あのお二人とはよく話しておいて損はないですよ。ザラさんからは色々聞けます」 「機密事項とかも、か?」  彼は顔色一つ変えずに頷く。   「……俺が聞いたこと、少しお話しましょう。昔はアズダさんと同じ立場でしたから、居心地の悪さはよく分かるので」  その時、ちょっとガンドゥルの目が細まった気がした。  
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