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解答編
(ごくろうさま、時子さん。でも大田原の女があなたひとりだけだと思ったら大間違いなんだから。せいぜい私の代わりに捕まってちょうだい)
姫華が心の中でそうつぶやいた。
(大田原と関係を持っていた私は、あの男が時子さんに金庫の解錠番号を教えたことをあらかじめ聞いていた。だからことを起こすとしたら、あの男が時子さんと翌日から長期休暇で海外に行く予定になっている今夜だと簡単に推測できた)
たくさんの小さな瞳が、不思議そうに姫華を見上げている。
(あの男が前に店に来たときにこう言っていた。『金は全部家の中で管理してる』って。それからあの男がなぞなぞ好きだって知ってピンときたの。五十音順の『い』と『え』の中にある文字。それは『う』)
姫華の近くを、長い耳をしたふわふわの動物がぴょんぴょんと跳ね回っている。
(それから私はあの男の会社のとある場所をくまなく調べた。そして遂に見つけた。大金が保管されている隠し部屋をね)
姫華の目の前には数え切れないほどの札束が積み上げられていた。
(金の保管場所は『う』――つまり『卯』。あの男が経営している会社の、うさぎの繁殖小屋の中だったのよ!)
姫華は勝ち誇ったように、いつまでも高笑いを上げ続けるのだった。
完
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