ふたつの月と、きみを待ってる~プロローグ

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あの森のなかのちっちゃな湖には、行ったらだめよ 鬼が、出るからね 連れてかれちゃうのよ いつものように夜空を仰ぐ。 くっきりとした闇のなかにやけに大きな橙の月がはりついている。 ついさっきまではただの虚無であったその隣に、ぼんやりともうひとつ、鈍く光るちいさな金の月が浮かび上がっていた。 どくん。 心臓がひときわ大きな音をたてる。 私は弾かれたように踵を返した。 今夜は会える。 あの鬼に
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