第二章・―二日目―

3/10
前へ
/45ページ
次へ
 ……やっぱり、何かがおかしい……? 歪んでるというか、変な感じというか、近付くにつれて変な音も聴こえてきている。  もしかしてこの人も、病魔に侵されているのか? 「お、何見……で」  すれ違う寸前、急に立ち止まった相手が、凄むように睨みながら声をかけてきた。  これは、ゲームやパソコンとかの電子機器でよく聴く、ノイズ音だ。  よく見えないと思っていたけど、違う。バグっていて、彼自身がおかしくなっているんだ。  間違いない。彼は、バグ病だ。 「おい!」  叫ばれてはっとする。  しまった。あまりにまじまじと、見詰め過ぎてしまったか。  ここは素直に謝って、これ以上事を大きくしないように進めないと。 「あ、す、済みません。失礼しました」 「……げ。がま……ざざ」  あ、会話がままならない。この人もう、末期なんだ。雑音というか、ノイズ音が酷すぎて、何を言っているのか、最早理解不能な状態だ。  ……どうしよう。  意思の疎通が出来る方法って、他にあったかな。  向こうは多分、こっちの声は聞こえている、と思いたいし……。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加