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ありがとな。これでやっと、俺も、心おきなく死ねるってもんよ。
「……っ」
一瞬、どきりとした。
“死”という概念を受け入れる世界になりつつあっても、やっぱりどこかで怖い気持ちは残っているものだ。
まして、病魔によっては意識を正常に保ったまま、徐々に壊れてしまうしかないものだってある。
そんな時間を、全員が本当に穏やかに過ごせるかなんて、誰にも分からない。
……この人は“死”を受け入れているのだろうか?
だとしたら、凄い事だ。
こんな風に、心置きなく逝けたらとても良いだろうな。
な、もう俺、動きも鈍くなってきちま、てざん。
……文章がおかしい。本当に彼の言う通り、とうとう身体の自由が利かなくなってきているんだろう。
あえ、よ。おれ、うれじ?
いよいよノイズ音が酷くなってきた。
もう、“人間”の形をしていたのか、それとも最初から違うモノだったのかすら分からずに、スマホが取り落とされる。
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