思い出は桜のように綺麗だった

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「えっと僕の方こそごめん。 本当は15分前に西田公園に居たのに集合場所間違えちゃってたのに気付いたのが5分前だったから...ギリギリになっちゃった」 「えっ」と声を漏らして驚いた表情を僕に見せる。だけど少しして笑みに変わる。 「なに...それ」 「あはは...まさか桜の花と梅の花を間違えるなんて僕くらいだよ」 「えっ梅の花ってかなり距離が...」 途絶えた声の後、僕を見つめる奈雪の視線を追って自分の姿を見る。 整えて家を出た筈なのに人混みに揉まれぐちゃぐちゃになった服。 走ってかいた汗が髪の毛を濡らしていた。 「あはは...ぶしょたくてごめん」 ふと昔喋ってた方言が口に出た。 静岡の方言...大分前に封印したんだけどな。 ずっと僕を見つめていた奈雪は少しして「あはは」と笑いだし僕は照れ臭くて顔を反らした。 「じゃあお互い様って事にしよう」 「うん」 「私お腹すいちゃったな。あそこのお店で何か食べよ?」 「そうだね。僕喉乾いたな」 僕はお店に向かって歩き出す。 その時春一番のような強い風が吹き付け桜の花びらを散らす。 この幸せがずっと続けば良いのに 鳥肌がたった。聞いちゃいけない事を聞いた気がした。 でも今のは確かに...。 「奈雪何か言った?」 振り返り聞くと笑顔で「何にも?」と答えるので「そう...?」としか返せない。 「今の風強かったね!」 「うん...」 さっきの言葉が心に残り上手く返せない。 だけど表に出さないように笑顔を奈雪に見せて僕達は歩き出した。
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